※本記事は2023年9月時点の内容になります。
はじめに
こんにちは。
今回はCiscoでのスタティックルートの設定についてまとめてみました。
スタティックルートはルーティング=経路制御の基本中の基本の技術です。
基本的な技術なだけに、機器の仕様を理解しておくことがとても大切です。
CCNAの取得を目指している方であれば、避けて通れない知識となりますし、
2~3年目の若手エンジニアの方であれば、このスタティックルートの細かな動作を理解することで
様々な経路制御を行うことが可能になり、設計の幅も広げることができます。
本記事では、少し詳細な内容も記載しておりますので、ぜひ最後まで見ていただければと思います!
それでは、見ていきましょう!
※このブログは中の人の個人的な見解に基づいて運営しております
投稿内容はあくまで参考情報として認識おきください
この記事を読むと、以下のことが分かるようになります。
- Cisco 機器でのスタティックルートの設定方法
- スタティックルートの設定オプションと、オプションごとの挙動
スタティックルートの設定
Cisco(IOS/IOS-XE)では以下の3パターンの設定が可能です
ネクストホップをIPアドレスで指定するパターン
最も基本的なスタティックルートの設定です。
宛先IPアドレス+宛先サブネットマスク+ネクストホップアドレス
Router(config)#ip route 10.1.1.0 255.255.255.0 192.168.1.254
このパターンの場合、上記のスタティックルートの設定が入っているルーターからみて
ネクストホップのアドレスへの到達性があれば、ルーティングテーブルにエントリーされます。
逆に、ルーターからみて、ネクストホップのアドレスへの到達性がなければ、ルーティングテーブルにエントリーされません。
つまり10.1.1.0/24のネットワークへルーティングしたい場合は
ネクストホップである192.168.1.254への到達性が確保されなければならないということになります。
以下はネクストホップへの到達性がある場合のshow ip routeとshow interfaceの出力結果です。
Router#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
o - ODR, P - periodic downloaded static route, H - NHRP, l - LISP
+ - replicated route, % - next hop override
Gateway of last resort is not set
10.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets
S 10.1.1.0 [1/0] via 192.168.1.254
192.168.1.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
Router#show interfaces fastEthernet 0/0
FastEthernet0/0 is up, line protocol is up
次に、ネクストホップへの到達性が無い場合のログの出力結果を見てみましょう。
Router#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
o - ODR, P - periodic downloaded static route, H - NHRP, l - LISP
+ - replicated route, % - next hop override
Gateway of last resort is not set
Router#show interfaces fastEthernet 0/0
FastEthernet0/0 is administratively down, line protocol is down
ネクストホップのアドレスを持つ機器との接続インターフェースであるFastEthernet0/0 がDownしている為
ルーティングテーブルにスタティックルートはエントリーされていません。
Ciscoのルータではルーティング時に宛先ごとにレイヤ2フレームを書き換える動作をします。
その為、ルータはネクストホップ IP アドレスのレイヤ2アドレスを必要とします。
つまりARPによりネクストホップのMACアドレスを学習しないと
スタティックルートはルーティングテーブルにエントリーされません。
まとめると以下のとおりとなります。
- スタティックルートで設定されている、ネクストホップアドレスのARPリクエストを実施する
- ネクストホップアドレスのMACアドレスが学習できれば、ルーティングテーブルにエントリーされる
- ネクストホップアドレスのMACアドレスが学習できなければ、ルーティングテーブルにエントリーされない
- スタティックルートをルーティングテーブルにエントリーしたい場合は、ネクストホップアドレスのMACアドレスを学習させる必要がある
ネクストホップを出力インターフェースで指定するパターン
次に、ネクストホップを出力インターフェースで指定するパターンです。
宛先IPアドレス+宛先サブネットマスク+インターフェース
Router(config)#ip route 10.1.1.0 255.255.255.0 FastEthernet0/0
このパターンの場合、ネクストホップで指定したインターフェースがUpしていれば
ルーティングテーブルにエントリーされます。
その際、宛先アドレスである10.1.1.0/24をconnectedでエントリーします。
以下show ip routeの出力結果をです。
Router#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
o - ODR, P - periodic downloaded static route, H - NHRP, l - LISP
+ - replicated route, % - next hop override
Gateway of last resort is not set
10.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets
S 10.1.1.0 is directly connected, FastEthernet0/0
192.168.1.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
Router#show interfaces fastEthernet 0/0
FastEthernet0/0 is up, line protocol is up
逆に、出力インターフェースがDownしていた場合は、ルーティングテーブルにエントリーされません。
よって10.1.1.0/24のネットワークへルーティングしたい場合は
ネクストホップで指定した出力インターフェースがUpしていなければならないということになります。
試しにネクストホップで指定しているFastEthernet 0/0をDownさせてみましょう
Router#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2
i - IS-IS, su - IS-IS summary, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2
ia - IS-IS inter area, * - candidate default, U - per-user static route
o - ODR, P - periodic downloaded static route, H - NHRP, l - LISP
+ - replicated route, % - next hop override
Gateway of last resort is not set
Router#show interfaces fastEthernet 0/0
FastEthernet0/0 is administratively down, line protocol is down
FastEthernet 0/0がDownしているため、ルーティングテーブルにスタティックルートはエントリーされなくなりました。
まとめると以下のとおりとなります。
- ネクストホップをインターフェースで指定した場合、該当インターフェースがUpしていればルーティングテーブルにエントリーされる。
- ネクストホップをインターフェースで指定した場合、該当インターフェースがDownしていればルーティングテーブルにエントリーされない。
- スタティックルートをルーティングテーブルにエントリーしたい場合は、ネクストホップで指定したインターフェースをアップする必要がある
ネクストホップを出力インターフェースとIPアドレスで指定するパターン
最後に出力インターフェースとIPアドレスで指定するパターンです。
宛先IPアドレス+宛先サブネットマスク+インターフェース+IPアドレス
Router(config)#ip route 10.1.1.0 255.255.255.0 FastEthernet0/0 192.168.1.254
※工事中